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最高裁判所第二小法廷 平成5年(し)96号 決定

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣意は、憲法三二条、三一条、四一条違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認、処分不当の主張であって、少年法三五条一項の抗告理由に当たらない。

所論にかんがみ、職権により判断する。少年法一七条一項に定める観護の措置は審判を行うためのものであることに照らすと、家庭裁判所は、抗告裁判所から差戻しを受けた事件が先に同項二号の観護の措置が採られたものであったとしても、右事件については、更に審判をしなければならないのであるから、その審判を行うため必要があるときは、同条一項に基づき、同項二号の観護の措置を改めて採ることができ、その場合の少年鑑別所に収容する期間は先に採られた観護の措置の残りの収容期間に限られないと解するのが相当であり、これと同旨の原決定は、正当である。

よって、少年審判規則五三条一項、五四条、五〇条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官大西勝也 裁判官藤島昭 裁判官中島敏次郎 裁判官木崎良平)

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